2014年3月1日 美木多 幼稚園

巣立ちと偶然
ー3月のことばー

 

厳しい寒さが続いていますが、それでもどことなく心を温かくしてくれるような春の足音が近づいてくるのを感じます。それは待人の期待からだろうか。実際気づかない程度に暖かくなっているのだろうか。それとも樹木や草花の微妙な動きに刺激されてそう感じるのか。とにかく野を越え、山を越え、川を渡り、一面春景色に染めながら私たちの許に到着し始めました。躍動の瞬間、歓喜の瞬間です。3月、喜びに浸る受験生もいれば、捲土重来を期す人もいるでしょう。美木多幼稚園児の何年か後の姿かもわかりません。喜び、期待にあふれる人はこの幸福感を忘れないでほしい。苦しくつらいときは思い出してほしい。挑戦に失敗した人はそんなに嘆かないでほしい。与えられた試練に毅然と立ち向かってほしい。人生は長く、最終的に勝利するのはあなたであるかもわからないから。年長の皆さん、卒園本当におめでとう。幼児期のかかわり方が重要なことは万人が万人肯定している事実であり、それがこれから生きていく人生の中で根幹部分を成すことも誰も否定はしない。そういう観点で見てみると2年、3年、4年間美木多幼稚園で得た経験や体験は君たちのこれからの人生の中で大きな宝となり、掛け替えのない役割を果たしていくことでしょう。しかしそれにはこれからも不断の努力や勉強が必要なことは言うまでもないことです。怠惰からは何も生まれてこないからです。これからの行く道には必ずしも好ましい人物だけに遭遇したり、自分の好きな、得意な事象や自分と同じ意見や考えばかりに出会うとは限りません。強烈な反対意見にぶつかり、心が折れそうになることもあるでしょう。しかし誠意をもって真面目に対応することによって道が開かれる場合も数多くあります。幼稚園で学んだこと、友達と遊んだこと、様々な行事を頑張ったこと、皆さんにとって大きな大きな財産です。きっと皆さんの役に立ちます。日本は今、ある意味四面楚歌の状態かもしれません。皆さんが半世紀後、苦境の日本を救った立役者になるような活動、何も大きな活動を言っているのではなくて、小さくとも社会に役立つ活動、そんな活動を誇らしげにしている、そんな姿が目に浮かぶようです。りんご、年少、年中組の皆さん、この1年の成長は目を見張るものがありました。あんなこともこんなこともできるようになりました。弱虫だった子もこの1年で見違えるように強くなりました。本当にこの1年よく頑張りました。来年も美木多幼稚園でお友達や先生と楽しく仲良く過ごしましょう。きっと良いことが一杯ありそうです。さて11月の園便りで「道央道旭川への道」という文を書きました。個人的に驚いた経験になりました。「何の知識もなく旭岳温泉という所に泊まった。知らなかったとはいえ、そこは会場から40km近く離れ、そのうえ海抜1000mを超えていた」。そうです、泊まった旅館の名前は「湯元 勇駒荘」、この旅館を選んだ理由はJTBの時刻表の中の旭岳温泉の最初に列記されていたに過ぎなかった。暖炉のあるロビーには政財界の有力者や有名人と若い女性が一緒に写った写真が何枚も飾られていた。なんでこんな写真がと思って尋ねると、ここの経営者の娘さんで、スノーボードをやっているとの返事、それなりに頑張っているのだな位の印象でしたが、ソチオリンピック銀メダル竹内智香さんは旭川出身の旅館の娘という記事に、ひょっとしたらあの時泊まった旅館かなと思って調べると、まさにその旅館のその人。今はそのせいで予約がいっぱいだとか。偶然にびっくりしたソチオリンピックへの私の思いだった。年長さん、小学校へ行って最初は少し戸惑うかもしれないが、誰も経験すること、何も恐れることはない。皆さんが美木多幼稚園に在園したことに自信を持ってほしい。友達をたくさん作って小学校でも楽しく過ごしていこう。皆さんはすべての人の期待の星です。時々幼稚園のことも思い出してください。いつまでも元気でいることを心より祈っています。